クロちゃん通信 〜お仕事場のお困りごとをズバッと解決!〜 │ 株式会社黒田生々堂 HOMEアスクル企業・お仕事場の防災用品・防災備蓄とは~ガイドラインに沿った防災備蓄の目安「努力目標」とは 何をどれだけ備蓄したらいい?の巻~
2025/03/21
災害発生に備えた企業防災で、防災用品・防災備蓄は何をどれだけ用意すればいいでしょうか。
企業の防災備蓄は、ガイドラインに則った「努力目標」があります。
一般の家庭の防災備蓄の考え方とは違う、企業の防災備蓄の目的と、目安に沿っているかを見直しましょう。
一般的に企業の防災備蓄のガイドラインは 東京都帰宅困難者対策条例 を基準としています。
東日本大震災では、道などを使って通勤・通学をしている人々の帰宅手順が閉ざされ、首都圏において約515万人(内閣府推計)に及ぶ帰宅困難者が発生しました。
道路や歩道が多くの人で埋まり、大渋滞が発生することで、警察・消防・自衛隊の車両が速やかに現場に到着できず、人命救助のカギとなる72時間の救助・救命活動に支障をきたします。
そのため東京都は帰宅困難者対策を総合的に推進するため、「一斉帰宅抑制の推進」、「安否確認の周知」、「一時滞在施設の確保」、 「帰宅支援」を主な柱とする「東京都帰宅困難者対策条例(以下「条例」という)」を制定しました。
この条例に基づいて、東京都の帰宅困難者対策の努力目標には、次のようなものがあります。
条例を基に作成された東京都防災ホームページ「帰宅困難者対策ハンドブック」によると
災害発生時、人命救助のデッドラインは72時間と言われています。発災後3日間は救助・救命活動を優先させる必要があります。
そのため、事業者は従業員等の一斉帰宅が救助・救命活動の妨げとならないよう、
発災後3日間は企業等が従業員等を施設内に待機させるとともに、必要な備蓄を行うよう努めましょう。
(出典:東京都防災ホームページ「帰宅困難者対策ハンドブック」)
とされています。
企業に求められる防災備蓄の目的、ガイドラインは
・従業員の一斉帰宅の抑制 :企業は従業員を3日間は施設で待機させるために必要な備蓄を行うこと
と考えられています。
施設内待機のための備蓄についてのポイントは、
従業員が施設内に留まれるように、3日分の水・食料等を備蓄
外部の帰宅困難者(来社中の顧客・取引先や発災時に建物内にいなかった帰宅困難者など)のために、10%程度の量を余分に備蓄
その他、企業ごとに必要な備蓄品を検討
(出典:東京都防災ホームページ「帰宅困難者対策ハンドブック」)
とされています。
災害後 飲食店や小売店、物流が止まり、水道も止まることを想定し、
従業員が3日間施設内に留まれるだけの水・食料の備蓄が必要です。
対象となる従業員は、雇用の形態(正規・非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員
3日分の備蓄量の目安は、従業員一人当たり
水:1日3リットル、計9リットル
主食:1日3食、計9食
毛布:1枚
(出典:東京都防災ホームページ「帰宅困難者対策ハンドブック」)
とされています。
水・飲料の3日分の備蓄量の目安 :1人当たり1日3リットル、計9リットル
主食の3日分の備蓄量の目安 :1人当たり1日3食、計9食
主食とはアルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺など
長期保存できる非常食と、日常的に食べられるカップ麺などを組み合わせて備蓄できるといいですね。
お湯・水を入れて待つだけでご飯が出来上がるアルファ化米は、省スペースで保管できるのでまず用意しておきたいですね。
定番の乾パン、長期保存パンなどのほか、食べなれたお菓子や、栄養バーなどの長期保存タイプもあります。
水、非常食・備蓄食品をすべてストックするには場所もとるし、長期保存商品は割高になります。
水や、麺類など普段の飲食物を多少多めに購入し、日常的に使いつつ、なくなる前に補充してかしこく蓄えるローリングストックもあわせて活用しましょう。
お湯が使える状況なら、カップ麺が手軽です。非常時には"食べなれた味"が安心できます。
従業員を3日間施設内に留まり待機させるためには、仕事場で宿泊する為の用意が必要です。
防災用の毛布は1人1枚備蓄しましょう。
コンパクトなアルミブランケットでも、1枚あると体温低下を防ぎます。
空気で膨らませるエアーベッド/エアーマットならコンパクトに収納できます。
簡易なものでも、硬く冷たい床に直接寝るよりも寝心地を緩和します。
災害発生時、ビルなどの建物のトイレの水洗が使えなくなることが考えられます。
条例の「努力目標」には設定されていませんが、防災トイレも十分な数を備蓄しましょう。
トイレにいきたくなってから1日我慢することはできませんよね。じつは水や食料よりも防災トイレが早く、先に必要になるのです。
成人のトイレ回数は1日に平均3~5回。
トイレは食事の回数よりも多いため、非常用簡易トイレは思いのほか沢山必要になります。
防災トイレの備蓄必要数は【1日5回】×【人数】×【日数】
人数と日数をかけて十分な必要数を備蓄しましょう。
防災備蓄の目安「努力目標」は、過去の災害発生時の教訓からあくまで「大規模災害発生時に混乱や帰宅困難者を減らすこと」を目標に設定されています。
上記品目に加えて、事業継続(BCP)等の要素も加味し、企業ごとに必要な備蓄品を検討しておきましょう。